偏食克服を目的とした食育シリアスゲーム
「Food Practice Shooterの開発
tomato.jpgはじめに
 近年、海外からの食料輸入の増加に加え、食の国際化が進んでいます。食べたいものを好きなだけ食べ、嫌いなものを食べない、いわゆる『偏食』や『好き嫌い』する人口が増加しています。このように偏った食生活を続けていると「高脂血圧症」や「骨粗しょう症」などの症状を引き起こす要因のひとつになると言われております。
 我々はゲームを用いて『偏食』や『好き嫌い』を克服することを目的とした『偏食克服システムの開発』を行なっています。ゲームコンテンツのクリア条件として飲食物の「摂取」と、「咀嚼」、そして「笑顔」が必要です。これらの条件をクリアしないとゲームコンテンツを進めることができません。
 本システムを用いることで、ゲームを楽しみながら偏食を克服することを目指しています。

tomato.jpgシステム概要
 「Food Practice Shooter(以下、FPS)」は、「食べて!噛んで!笑って!敵を倒す!」一人称視点のシューティングゲーム(First Person Shooter)です。 体験者が飲食した飲食物の種類と咀嚼回数で銃から放たれる弾丸の種類と弾数が決定されます。そして笑顔になることで、銃に弾丸が装填されます。 体験者は「飲食」「咀嚼」「笑顔」の動作を繰り返し敵を倒す必要があります。

tomato.jpg展示風景

tomato.jpg動画

tomato.jpgQ&A
Q1: どうしてこれを考えたのですか?
 以前、口臭を用いた吹き矢型デバイスのゲームを作成したことがあります。このシステムは、実際に飲食物を摂取し口の臭いを変化させることでモンスターを撃退することができます。そのシステムにおいて「あの鬼のモンスターを倒すには、豆を食べないと!」と子供たちに指示すると、子供たちがゲームをクリアーしたいがために、豆を食べたりトマトジュースを飲んだという事例が数件ありました。
 例えば、馬の前にニンジンをぶら下げておくと、馬はニンジンを食べたくて前に進みます。それと同じように、子供たちの前にゲームをぶら下げておき、そのクリア条件に飲食物とトリガーにすることで食を克服することができるのではないかと考え、このシステムを考えました。
 この作品は、普通のゲームではなく、シリアスゲームです。シリアスゲームはゲームプレイ過程で得られた経験が実際になんらかの役に立つことを目的に制作されています。
 従来のテレビゲームで得るものはありません。単なる時間の浪費でしかありません。短期間でゲームおこない「気分をスカッとリフレッシュ」できるものであれば良いのかもしれませんが、最近のゲームはクリアするまで何百時間という時間を浪費します。ゲームを徹夜でプレイして、次の日の会社、大学で寝不足が原因でなんらかの支障が生じています。
 ゲームプレイして何が残りますか?経験ですか?知識ですか?あなた達は、何回RPGで世界を救っていますか?現実に、それだけの回数「世界を救う英雄体験」をすれば人格的にも精神的にもしっかりした人間に成長するはずです。しかし、実際はどうでしょうか?「ゲームをプレイして何が得られますか?」
 そういった従来型のゲームとは異なり、偏食を克服する可能性をもたらすことができるシリアスゲームを今回は提案しています。
Q2: 咀嚼する意味は?
 咀嚼は単に食物をかみ砕くだけではなく、口腔内を刺激することにより各臓器の消化液の分泌を促進しする働きがあるといわれております。
一回の食事の咀嚼回数は約1,500回が理想とされています。しかし、実際は620回程度と咀嚼回数が年々減少しています。 子供達に人気のメニュー(カレーライス、ハンバーグ、スパゲッティなど)は、柔らかく、咀嚼をほとんどすることなく飲み込んでいるのが現状です。
 本システムにおいて、咀嚼することをトリガーとすることで、ゲームを通じて嚼回数の増加を目指しています。
Q3: どのようにして咀嚼を検出しているのですか?
 ユーザは、ヘッドセット型の咀嚼センサを装着します。ヘッドセットのマイクに当たる位置にフォトリフレクタ(距離センサ)が内蔵されています。咀嚼することにより頬の咀嚼筋が起伏します。フォトリフレクタで皮膚表面の起伏を取得することで咀嚼を検出しています。頬の咀嚼筋を検出していますので顎の長さなのに影響することはありません。
 
Q4: なぜ笑わなければいけないのですか?
 母親が小さい子供にご飯を食べさせる時に「は~い、おいしいですよ~」とニコニコしながら食べさせます。子供は飲食した食べ物の味と母親の笑顔で、「食べることは楽しい」と認識すると言われております。本システムにおいて、嫌いな飲食物を渋い顔をして食べるのではなく、笑顔になることで楽しみながら偏食を克服することを目的としています。
 
Q5: どのようにして笑顔を検出しているのですか?
 笑顔検出には、OMRONの「リアルタイム笑顔度センサ スマイルスキャン」と「スマイルドア」を用いています。一定の笑顔度数を指定時間認識することで笑ったと認識しています。
Q6: どのようにして何を食べたかを検出しているのですか?
 ユーザが摂取した飲食物は、重さを用いて検出を行っています。タニタのデジタルスケール(TL-280)を3台用いています。これによりユーザが飲食した順番と量をリアルタイムに検出することが可能です。
Q6 なにを食べているのですか?
 現在は、イトウ製菓様のベジケットを使用させいただいております。本システムではベジケットの「ピーマン、にんじん、トマト」の三種類を用いています。ベジケットはクッキーとはいえ原料には実際の野菜を粉末にしたパウダーから製造されており、しっかりとした野菜の味がします。
 必ずクッキーである必要はありません。実際の生野菜や食べ物でも問題ありません。どんな食べ物でも飲み物でもOKです。しかし、展示会場の関係や衛生面の問題からクッキーを用いています。
Q7 衛生は大丈夫ですか??
 衛生面には気を使っており、プレイを行う前にはかならず消毒液で手を消毒していただきプレイを行なっております。また、飲食物を補充する際には手を消毒した上、ゴム製の手袋を用いて補充を行なっております。さらに、提供後1時間以上経過した飲食物は廃棄するなどして、衛生面には気を使っております。
 プレイ時には、飲食物の原料を示し、アレルギーがないかの確認を行なっております。
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Q8 食べながらプレイしているのですか?
 飲食物を食べている間は、ゲーム内の時間はストップしております。体験者は、ゆっくり咀嚼を行いながら飲食物を食べることができます。急いで食べる、急かして食べる方がゲームとしての面白さなどは高まるとおもいますが、本システムでは、食育を目的としておりますので、飲食中のゲーム時間は止まるようになっています。
 
Q9 本当に偏食を克服できるのですか?
 必ず偏食が改善させるわけではないが、ゲームを通じて嫌いな飲食物を摂取する「きっかけ作り」が可能ではないかと考えています。好き嫌いの多くは過去の経験から「自分は食べれない」という思い込みであり、少しのきっかけから「食べれる」「食べれた」へと変化することが多い。
 本システムを用いることで、「ゲームをプレイしていたら、嫌いなものでも食べれた」という自信を持つことができる可能性があり、偏食を克服するきっかけづくりを提供できると思っています。